序章の続き。感想は、後日、書きたいと思いますが・・・。
第1章 子育てを考える
Ⅰ 児童虐待防止から
Ⅰ-1 問題の所在
1-1 児童虐待とは何か
児童虐待:親が子どもをいじめること。
虐待:残酷に扱って苦しませること。
:相手を冷ややかに扱うこと。
児童虐待→2003年死亡事件42人。
児童虐待防止法2条→親による虐待を防止
主体;保護者
行為;①身体的な虐待、②性的虐待、③ネグレクト、④心理的虐待
1-2 虐待の現状
;実の母親によって幼い子に身体的虐待やネグレクトがなされることが多く、通報は、近隣知人・福祉事務所・学校などからなされることが多い。心理的虐待の割合が増えており、通報者として近隣知人が増えているのは、児童虐待に対する関心の高まりを反映したもの。
(1)
① 身体的虐待 45%
② 性的虐待 5%
③ ネグレクト 35%
④ 心理的虐待 15%
(2)通報相談(1位;福祉事務所15%、2位;近隣知人13%、3位;学校12%)
(3)主たる虐待者→ 実母60%、実父25%
(4)虐待を受けている児童の年齢
① 3歳未満20%、小学校入学以前30%
② 中学生以上15%
1-3 虐待の背景
(1)児童虐待急増の背景
親の特徴、子の特徴、家庭のストレスなどと並んで、子産み・子育て環境の激変がある。伝統的な3世代・4世代家族、拡大家族に問題が顕在化した場合、重層的に支援や援助が行われ、家族関係の病理による家族崩壊を予防した。だが、戦後の高度経済成長に伴う人口移動は、家族・家庭の小規模化を促した。同時に、親族関係・近隣関係の希薄化ないし崩壊をもたらし、インフォーマルな支援・援助関係が存在した。家族の状況として、社会的に孤立していること、多くの家族は、近隣との関係が悪い、子どもの通う保育園や小学校からの関わりを拒否する、関係機関のはたらきかけに応じないなど、社会的に孤立している。もっとも、子育て内容の国民の期待水準が向上し、児童虐待を認知する敷居が低くなっていることも考慮しなければならない。
しかし、児童虐待対応施策の充実は重要かつ緊急の課題である。また個別事例的には、生命・人権上ゆゆしい問題に至ることも多く、一つ一つの事例に対する丁寧な対応が必要であり、事例によっては行政的・法的権限の行使による迅速な対応が必要になる。
さきの「子育てに対する社会的な要求水準が上がっているという」指摘があったが、これが親たちに対する圧力になっており、虐待までにいかないまでも子育てに悩む人々が増えている。
1-4 予防の方策とその限界
(1)虐待予防の観点から・・・限界はある。
① 第1次予防(発生予防);子育て支援活動
例)虐待に関する知識の普及などの啓蒙活動や、子育てサークルの普及など
② 第2次予防(進行予防)
例)育児不安を抱える母親への支援や、学校・保育所等での早期発見等
③ 第3次予防(再発予防)
例)施設での処遇や、治療活動による再発・悪化の防止
<? 虐待が深刻化する理由 ?>
第1の視点;虐待をする親には、自分が虐待をしていることを認めない心理が働いている
第2の視点;虐待に対する子どもの反応や家族の反応が虐待をエスカレートさせるのではないか。
第3の視点;虐待をする親とそのパートナーとの関係が上記2つの要因を助長している。
⇒ * 虐待のメカニズムを考慮した親のストレスにならないような支援活動の一層の充実が望まれる。
* ある段階からは、援助ではなく介入によって、子供を虐待から救い出すことが必要。
1-5 「親権の壁」?
(1)親が虐待しているのに介入しにくいという意識が根強く存在
→ 親権の壁?日本では、親の権利・権力としての親権が強く意識されている。そこで親の義務性を明確化すべきだという考え方もあるが、国家の介入を無批判的に肯定しやすい傾向があるとの批判もある。
Ⅰ-2 立法の対応
2-1 出発点としての児童福祉法
(1)1989年採択「児童の権利条約」(日本でも1994年に発効)
1947年児童福祉法制定
児童福祉法2条;国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
→ 児童相談所の設置を都道府県に義務付け
障害児の支援
放課後児童健全育成事業(学童保育)
保育所
☆ 児童相談所長の児童虐待発見した際の通告(25条)
一時保護(33条)、児童福祉士等による家族の在宅指導等の措置(26条)
収容措置(27条1項3号、28条=親の意思に反する場合には家裁の承認が必要)
親権の喪失宣告(民法834条)←請求権者(親族、検察官、児童相談所長)
(2)児童虐待防止法の制定(2000年5月24日制定、11月20日施行)
背景 1999年;児童相談所に寄せられた相談件数が1万件を超す
内容① 児童虐待の早期発見の努力義務
② 児童虐待のおそれがあるときの知事に立ち入り・調査質問権、警察の援助請求
③ 親権を制限する権限(面会・通信)を児童相談所長に与える
(3)残された問題点
① 規定の実効性
→ 児童虐待相談件数 2002年には3万件に近づく
② 2004年4月7日「改正児童虐待防止法」
通告義務 「児童虐待を受けた児童」→「児童虐待を受けたと思われる児童」変更
(4)虐待の後で
① 改正児童虐待防止法の視点
* 児童の保護
* 自立の支援(保育所への入所・住所の確保など)
⇒ グループ・ホーム(地域小規模化施設)
;地域社会の中で家庭的な生活を通じて養育していこうという考え方
⇒ 里親制度 → 十分に機能していない
∵ 制度が十分に知られていない、子どもを慎重に選別する傾向、育児の負担が大きい、施設のバックアップが十分とはいえない
(5)官民協働のネットワーク
① 改正児童虐待防止法
;「関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援」などの体制の整備が求められている。
背景;児童虐待の早期発見・予防、自立支援ともに行政だけでは限界
例)子ども虐待を考える会、カリヨン子どもセンター
(6)育児支援への試みへ
* 少子化対策基本法2条1項、次世代育成支援対策推進法3条
⇒ 保育サービスの充実、地域社会における子育て支援体制の整備
企業が行動計画を策定すべきこと、雇用環境の整備をはかるべきこと
例)育児休業制度の改善、労働時間の短縮、在宅ワーク制度の導入など
大村;子育て支援による出産を促進することの是非は別として、生まれてきた子供たちを育てるのに不安を抱き、苦労をしている人々が現に存在することは確かである。子育て支援が必要であるという認識は、広く国民に共有されている。
Ⅱ 共同子育てへ
Ⅱ-1 実例の紹介
Ⅱ-1-1 「子育て広場0123吉祥寺」の試み
(1)児童虐待の背景の1つ;子育てをする親たちが社会的に孤立していること
⇒ 「子育て広場0123吉祥寺」
;子育て中の親子が気軽に集い相談・交流できる場(集いの場・子育て広場)を設けようという活動。
;背景;市の行政の見直しの中で2歳以下の子どもたちに対するサービスがほとんどなにも されていないことが認識。
→ 私立幼稚園の跡地利用
;遊び場が少ない、こどもだけでなく母親も友だちや話し相手がいない、子育て関連の情報が欲しい、子育てに自信が持てない、子どもに嫌悪感を抱く、母親は共に疲れている、孤立無援の新疆など、乳幼児や母親の抱える問題を考慮に入れて、乳幼児とその親とを同時に視野に入れた施策・施設が必要である、との考え。
4つの機能
a)子どもたちが自由に気軽に遊べる場
b)親どうしの交流・学習の場
c)子育てについての様々な相談に応ずる場
d)子育てに関する様々な情報提供の場
;5~6名の専門スタッフ、1日80組ほどの利用者
→ 2号館「武蔵野市立0123はらっぱ」(1日平均110組)
⇒ 市から「武蔵野子ども協会」に運営委託。活動内容の検討・助言については、発達・保育の専門家を委員とする企画委員会が置かれている
Ⅱ-1-2 近隣自治体へ、NPOへ
(1)三鷹市子ども家庭支援センターすくすく広場 1997年3月開設(1日平均170組利用)
(2)横浜市菊名「おやこの広場びーのびーの」(2000年4月開設)
;利用者の利用料によって運営
★ 財源が苦しい(スタッフはボランティア)
☆ 他の子育て団体との連携も自由
☆ 運営も自分たちの裁量ですぐに変更可能
☆ 行政と民間をつなぐ役割も果たせる
★ ひろば開設には、責任が伴うし継続が必要。
Ⅱ-1-3 保育園不足と規制緩和
(1)子どもを預けたい親たちをサポートする試み
* 保育園;親たちのニーズにこたえ切れていない
① 場所によっては保育園の数が不足
② 保育園に子どもを預けるのには様々な制約(子どもの年齢、親の側の問題、時間の問題、場所の問題)
③ 保育園の保育の質にバラツキ
規制緩和;定員の弾力化、設置主体の制限撤廃、土地・建物の賃貸方式の許容、最低定員の引き下げ、公設民営方式の促進、設置基準の弾力化
4 保育の場をつくる試み
(1)自分たちで共同して保育の場を創ろうという動き
① 認証保育園制度・・・横浜保育室「保育室ネスト」;ワーキングコレクティブ
7割市が負担。
② 家庭保育園
③ 自主保育(東京、川崎に20のグループがある)
5 保育の担い手を見出す試み
(1)保育ママ;厚労省「家庭的保育事業」補助金制度(要件;保育士か看護師)
(2)ファミリー・サポート・センター(市町村);仲介制度
6 小学生たちは?
(1)学童保育(12000か所);児童待機の数は少なくない
Ⅱ-2 検討と考察
2-1 共通の特徴
(1)地域レベルでの創意工夫に根差すもの
(2)サービス内容「育児サービス」だけでなく、ある種の共同(親と親のつながり)
⇒ 共同育児を機能させる条件であるとともに、共同育児における目標そのもの
(3)様々な試みは、これをサポートするシステムを生み出しつつ普及していった
* 成功例はモデルとして→自治体や国が着目→補助金
2-2 いくつかの対比
(1)共同子育ての担い手は多様;組織化の度合いにはかなり大きな差
(2)サービス内容;育児サービスの提供・享受(消費者)
共同性の創出・維持 どちらかを重視
(3)育児支援の支援;物質・情報
同種または異種の試みをつなぐネットワークづくり(←人材の育成・供給)
2-3 法的な問題点
(1)子育てに固有の問題=生身の人間にかかわる
(2)心理・教育・福祉の観点からのアプローチ
(3)法的アプローチ(保育事故)⇒責任問題
2-4 子どもを預かる者の責任→法的責任はかなり重い
(1)責任の重さ→十分に認識されていない
(2)保険による対処(保育をする側、子どもの側)
承諾による対処
2-5 評価と提案
(1)被害者側が納得を得られるような事故対応システムの構築
* 民法の大原則;不法行為、債務不履行・・・安全配慮義務
(2)提案① 安全の確保につき、自己に十分な対策を講じ、子どもを預ける親の側にも注意・自覚を促す。
提案② 事故が起きた場合に適切な対応を行うこと
事前・事後のケア
(3)まとめ
① どのような保育が行われ、どのような安全対策がなされているのかを事前に親に説明すること
② 事故が起きた場合に応急措置などができるような研修を行うこと
③ 事故が起きた場合の対応の手順を定め、十分な事後説明を行うこと
④ 保険を用いること
2-6 実質上の公正さと手続上の透明さ
(1)ルールを受け入れさせるために
① ルールの存在に関する条件
ア)ルールの制定が正当な手順を踏んで行われているか
イ)制定されたルールがその適用を受ける人々にきちんと知られているか
ウ)ルールを自分たちで定めた場合
;最低限の同意を得られるような工夫
② ルールの内容に関する条件
ア)実質的に見て公平・妥当なものであるか
イ)ルールがどのように適用されるのかが明確に定められているか