民法

2015年12月 8日 (火)

潮見佳男「民法(債権関係)改正法案の概要」きんざい

忙しくて有斐閣法律講演会での内容と照合がまだ完全には終わっていませんが、やはり被るところが多く、講演の復習になります。

道垣内先生の言うように、「実務書の改正法案の説明」では危ういところがあるので、信頼が置ける潮見先生の本なので信頼が置けますし、ちょっとした一言に問題が含まれていることを気付かされます。なぜ、この本があるのに、他の本で改正法を学ぼうとするのか、というぐらいオススメです。

2015年12月 6日 (日)

有斐閣法律講演会2015 新しい「民法(債権法)」案を知る・学ぶ 2日目

有斐閣法律講演会2015「新しい『民法(債権法)』案を知る・学ぶ」の2日目に行ってきました。

石川博康准教授
 原稿を読まれて進めていく形だったと思います。14頁のレジュメを60分で、消滅時効・売買・役務提供契約・要物契約の諾成契約化を、一気に。滑舌も良く、聞き取りやすかったのですが、原稿を読み進めていく形が60分続くので、疲れました・・・。
 時効の起算点のところは、最後に道垣内先生からの補足で異論・突っ込みがありました。
 売買の担保責任の法的性質についても、補足で指摘されていましたが、適用事例は多いところですから、しっかりと丁寧に論じられていました。
 役務提供契約のところは、「整合性」を取ったところから説明していくのですが、レジュメで表にまとめておいてくれると分かりやすかったのですが、あっちこっちにレジュメが飛ぶので少し聴衆が混乱していたようにも思います。
加毛彰准教授
;債務不履行・債権譲渡・相殺を11頁のレジュメで、現行法の規定の構造→改正法案の内容という流れで説明され、とても分かりやすかったと思います。起草過程の話もされていたので、平井先生の債権総論の論の進め方と同じだったので(参照しているのでしょう)、理解が進みました。誤植が多かったのがもったいなかったです・・・。
幡野弘樹教授
;30頁のレジュメで、(1)法案のポイント、(2)現行法制度外観、(3)改正の議論と法案の内容という形で、代理、債権者代位権、詐害行為取消権、多数当事者の債権債務関係(保証を除く)をまとめています。説明は、項目によって(2)・(3)を説明、または(1)だけ説明など、メリハリをつけてくれましたが、いかんせん、項目が多く、大変だったと思います。聴いている方も大変でした。ただ、あとでレジュメを見れば、分かるようになっています。他の先生方の講義とは異なり、講義を聞きながらレジュメに線を引く(他の先生方の講義はメモをとりまくっていました)という形でした。改正の重要ポイントも把握できました。
道垣内弘人教授
 ;最後に「改正債権法と取引社会・まとめ、補足」ということで再登場。トリをつとめました。今回の民法改正は「ルールの改正ではなく、失われた予見可能性の回復であった。ところがその予見可能性の回復も十分になされなかったと言わざるをえない」という、ところですネ・・・。確立された判例法理を明文化したのは50箇所以上とのことでしたが、その名部下の段階で争いが生じた例として「動機の錯誤」を挙げられていました。中間試案からかなりのものが削ぎ落とされたことに対する恨みつらみ、愚痴・・・と冗談ぽく言われていましたが、かなりの抵抗を受けたことが分かります。
 改正に関する実務書に書かれているいることの注意点を、「定型約款」を例にして話されていました。
 最後に補足として(少し時間も延長)、賃貸借、錯誤、詐欺、保証、消滅時効の起算点、瑕疵担保責任の法的性質、他人物売買、請負の担保責任、債権譲渡についてザッと説明。もっと話をしたかった(異議を留めない承諾についても話をしたかったようです)とのことでしたので、有斐閣さん、是非、道垣内先生に法学教室で改正案について説明していただく記事を載せていただくと、助かります(是非、読みたいです)。
 

2015年12月 5日 (土)

有斐閣法律講演会2015 新しい「民法(債権法)」案を知る・学ぶ

久しぶりに書きます。

有斐閣法律講演会2015「新しい『民法(債権法)』案を知る・学ぶ」の初日を聴きに行きました。
大村敦志教授
 長年、審議・検討してきた改正内容が削り取られ、異論のないところだけになってしまった。しかし、それでも希望は残る。検討がなされたり、不十分ながらも条文ができたことが始まり・出発点。財産分与の発展のように、立法で播いた種を、判例、学説そして市民社会が共同で育てていく。
角田美穂子教授
 90分と長い時間を割り当てられるも、時間配分を間違え、定型約款が途中からハイスピード、賃貸借はレジュメを見ておいて、で終了・・・。話は巧かった。
道垣内弘人教授
 話がいちばんうまいし、面白いし、頭の良い人だな~と。話の持って行き方も素晴らしいし、不能に関するチャートがあるレジュメの1頁目(講義のメモを付した)は重宝します。
大澤彩准教授
 45分しかなく、レジュメに沿って改正のポイントを淡々と講義を進められていました。
久々の聴講で、疲れましたが、明日もしっかりと聴いてきます。
参加者は一部の20%引きという特典があるので(わたくしも2冊購入)、当日券があれば是非、参加してみてはいかがでしょうか(有斐閣のマワシモノではありません)。

2015年1月19日 (月)

池田真朗「民法(債権関係)改正作業の問題点~『民意を反映した民法典作り』との乖離」世界2015年2月号258頁以下

岩波書店の雑誌「世界」を初めて購入。

理由は、表題の通り、あれ、改正を進めていたんじゃないの?と思っていた池田真朗先生が、改正作業の問題点を指摘していたからです。

1.経緯の概要と問題の所在

2.民法の内容と今回の改正範囲

3.改正作業の出発点からの疑問

4.「学理優先」という学者の世間知らず

5.問題の根源は法律学のありかたに

6.市民法としての民法の本質

7.我が国の市民社会は成熟したか

8.民法の取引法化

9.法学部教育の問題点を俯瞰して

という内容。

最初に話の流れをまとめてくれています(258-259頁)。

① 客観的に見て、日本の民法典が現在それほど奥の問題をかかえているわけではない。

② しかし、このあたりで、120年を超える歴史を持つ民法典を見直して、その間の判例法理の準則を条文に取り込んだりして国民に分かりやすい民法典を作る、という法制審議会の諮問自体はそれなりに意味のあるものだった。

③ けれども、最初に諮問内容を無制限にして学者ばかりの意見を集めたという経緯から、長大な審議のかなりの部分が、先行した、学者委員たちの新しい学理や国際的動向を反映した提案に、実務界からの委員の疑問や反発が提示されるという、プロの間だけの議論の場になった。

④ 肝心の、現実の紛争解決に何が問題なのかとか、これからの市民生活にとってどういう民法が望ましいのか、という観点からの議論が置き去りになっていた感がある。

⑤ 要綱仮案は、突出していた新奇な論点をかなり削ぎ落としたようにも見えるが、精査すると、上記経緯が影響していて、結局学理的な発想で提案され、学理的な問題意識で分析されて出来上がった改正案で、現実の検証不足と思われるものがなお目立つ。

⑥ 2015年初旬に現在の改正要綱仮案が法案となって国会に上程されると、そのまま改正となってしまう可能性がある。

分かりやすく、そして「ここまで言っちゃって大丈夫?」というようなことも述べられています(もちろん、池田先生のお人柄でしょうが、ソフトあ表現です)。会社法改正後の民事局の人員配置を縮小しないため、とか(加藤雅信先生の改正作業の経緯に関する批判)、「学者の野望」(これは経団連の方の発言を引用)とか。

詐害行為取消権、債権譲渡禁止特約のように分かりにくくなっているもの、危険負担の改正作業の経緯、などを通じ、「民意を反映した民法典作り」になっていないのではないかと指摘しています。

今度、大阪で有斐閣主催の京大民法教授陣による解説講義が行われるそうですから、参加される方は、是非、一度、池田論稿を読んで、質問してほしいと思います。

2014年12月 6日 (土)

潮見佳男「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の概要」金融財政事情研究会

ネット書店では売切状態でしたが、

横浜の書店で見つけたので即ゲットしました。

簡潔に、でも分かりやすく解説されています。
さすが潮見先生。

ビジネス雑誌でも債権法改正の特集が色々と組まれていますが、
いまいち信用ならないですよネ。

そこで、この本。
252頁で39項目を簡潔に説明しています。

民法を一度学修されている方はすぐに読みきれると思います。

2014年9月10日 (水)

民法案内13 事務管理・不当利得・不法行為

我妻先生が書かれていて、財産法で出ていなかった12・13のうち、
川井先生が執筆され、良永先生が補筆された(経緯ははしがきを御覧ください)、「民法案内13 事務管理・不当利得・不法行為」(勁草書房)が出版されました。

読んでみて思ったのは、「これは、川井先生の民法概論だ~!」ということ。
穏当な学説、議論の運び方などは、概論と同じような印象を受けます。

とはいえ、自説を述べられた後「読者はどのように考えるであろうか」と考えさせる姿勢が民法案内ならでは、というところでしょうか。

特別法についても概説しており、原子力損害賠償法の解説もあります(151頁以下)。
紙質が良いので厚く感じますが、198頁と読みやすいサイズ。

もう少し、面白い小ネタがあっても良いのかな~とも思いますが、基本書になりうるものになっていると思います。

2014年6月22日 (日)

山下純司・島田聡一郎・宍戸常寿「法解釈入門・・・法的に考えるための第一歩」有斐閣

近時の若手の有力な法学者による法解釈入門。

入門と言いつつ、かなり高度なところまで扱っていますが、
真面目な法学とたる者は、是非、読むべき本だと思います。

と言いつつも、出版当時は気にはなっていたものの、
触手が伸びなかったのも確か。

でも、最近の色々な論文を読んでいると、この文献の引用が多いと思っていたところへ、
トドメは民法の大御所・京都大学名誉教授の前田達明先生の法学教室405号から始まった連載「『法解釈入門』の入門」(同52頁以下)。

この本をよく理解するために、法解釈についての基礎的知識を確認しようというのが目的だそうで、
ロースクール、法学部の学生、教える側も読むべき本として絶賛しています。

この連載もお茶目な例で、面白いです。




最初は解釈の初歩からなので、かったるいなーと思われるかもしれませんが、だんだんと、いや急激にレベルが上がっていきます。

わたくし一番のオススメなところは、
山下先生の第7章(全部良いです)、特に権利外観法理はルールではない、というところでしょうか。

2014年6月13日 (金)

民法案内13 事務管理・不当利得・不法行為

セブンネットで、まさかの。
え、川井先生、がんばっていらっしゃったのですネ。

現代によみがえる名講義。シリーズの特色を生かしつつ川井健流民法案内が補筆により没後完成。(「近刊情報」より)
我妻先生の講義ではないようですネ。でも買います!

2013年7月 3日 (水)

お久しぶりです。

またしても忙しさのあまり、久々の更新となってしまいました。

この間にもいろいろな書を買い、
2007年に乳がんを患った部下の入籍報告があり。
激動な毎日を送っています。
そんななか前クールでやっていたドラマも相当見ましたネ。
月;ガリレオ;緻密さに欠けていたように思います。
水;家族ゲーム;結末がどこへ向かうのかわからず、そこが面白かったですネ。
木;潜入探偵トカゲ;以外にも面白かった。最終回は「えっ」っていう感じでしたが。肝心の逮捕シーンを略しやがって・・・。
金;TAKE5。ストーリーがだんだんパワーダウンしていく感じでした。
日;八重。会津は可哀想ですネ・・・。
 ;空飛ぶ広報室。航空自衛隊のいい宣伝番組でしたネ。毎回泣けるストーリーで全体的に面白かったと思います。
このほか、WOWOWのERが月~金。
ドクターGも面白いですし、ナイナイのバラエティも見てますし、
休日は溜めていたブルーレイを見るので忙しい・・・。
購入した本。
まずは海堂さんのコチラ。


働きすぎて体調を崩していたこともあり、ちょっと勉強しておこうと思って購入。いま読み始めたところです。

そして2月に出ていたんですネ。



「螺鈿迷宮」「ケルベロスの肖像」を読んでないと
内容はわからないんじゃないかな~。
後半の盛り上がりが若干欠ける気がしました。
「ケルベロスの肖像」を読んでいたからでしょうか。

新書は1冊。


木山先生が薦めていたものでしたので、購入。
ただ、思っていたのと違ったな~。
あちこちの書店で探したけれどなかなか見つからず、
勝手に期待値を上げすぎていたのかもしれません。
参考になる記述ももちろんありましたが。
もっと多くの接続詞について解説してほしかったな~というところです。新書だからスペースがないというわけではありません。他の記述を削ってでも出来たのではないかなと思いました。


続いて法律書。
まず、こちらは書店で見つけて衝動買い。



足りなかったといわれていた(それでも簡潔にして参考となる記述でした)事実認定の記述を大幅に加筆し、演習問題もついた、旧版からのバージョンアップです。分かりやすくて、ページ数の割に読みやすいです。すぐに読めると思います。



こちらも書店で衝動買い。


噂の「憲法ガール」です。

帯に宍戸先生が推薦文を書いているとなると、どんなものか読んでみたくなり、購入。購入したのはすでに3刷目(6月1日第1刷、6月15日で第3刷と売れているようです)でした。

読了後の感想は・・・
①宍戸・解釈論の応用と展開、小山・作法、駒村セミナー連載をベースに、判例を「はしご」として論文を書くためのもので、読者は少なくとも宍戸・小山先生の両著作を読んでいないと分からないのでは?1回読んだだけでは分からないと思います。2、3度回して、ようやく分かってくる、そういう本だと思います。
②論文の一つの「型」を提示したところに意味があり、7年分の答案を読み込むとどのようにして論文を書けばよいのか、どのような論文が考査委員好みなのか、見えてくると思います。内容的にも上記①を踏まえており、高度なものだと思います。
③好みの問題かもしれませんが、文章はあまり巧くないような・・・。誤字・脱字は仕方ないのですが(116頁*4の「保護範論証」⇒「保護範囲論証」など)、理由づけだったり説明の仕方が少し足りないように感じますが、好みの問題ですネ。


佐伯先生の刑法総論も購入。



宍戸先生の本と同じく、頭の中をかき回される本です。でもそういう思考の戦いをすることが大事だと思うんですよネ。

刑法と言えば、西田先生の訃報が・・・。残念ですネ。
ご冥福をお祈りいたします。

2012年12月14日 (金)

川井健「説例民法学Ⅰ民法総則」勁草書房

わたくしは川井ファンです。

となると、読まざるを得ない「川井・説例民法学」。

感想は、「川井版・民法案内」ですネ。
わずか141頁で民法総則を概観できます。
もともと昭和51年に一粒社から出版されていた説例民法学を
改訂されたものです。
ある公務員の研修での速記録が元となったものであり、
説例はたしかに分かりやすいです。
民法概論ではそんな例えや説明をしていないのに、
川井先生と意外とお茶目、なんて思ってしまったり。
一番、印象に残ったのは、

「目は口ほどにものを言う」と言われるように黙示の意思表示も有効である(68頁)。
なので、川井先生の名講義を読むことができるという点で
スグレものな本です。
民法を教えている人が読むと、
例えをいろいろと使えるなーと思って読んでました。

が、注意すべき点が一つ。
引用判例からわかるように、
昭和51年以降の判例の引用は、たったの6つ。
平成の判例は4つしかありません。
なので、本格的学習の使用には堪えません。
しかし、それでも、民法が苦手な人は、
すぐに1周読める(回せる)し、民法の全体像をつかむことができる名著だと思います。
川井・民法概論の副読本として。


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