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2016年3月18日 (金)

佐藤幸治「世界史の中の日本国憲法~立憲主義の史的展開を踏まえて」左右社

書店で見つけて購入。


2015年6月6日東京大学で行われた「立憲主義の危機」(「立憲デモクラシーの会」主催)の講演用の原稿を基に書かれたもので、すぐに読めると思います(注を除いて92頁)。わかりやすく読みやすいのですが、奥が深いです。

色々と参考になる記述があり、以下、覚書。

12頁
「非立憲」とは違憲とまでいっていなくとも「立憲主義の精神に違反する」場合を含み、政治家たる者は『其の行動の、啻に違憲たらざるのみならず、非立憲ならざるやうにせねばならぬ』(佐々木惣一「立憲非立憲」)
10頁以下
 伊藤/井上の立憲主義定着のための働き
→ 大正デモクラシー(原敬)
→ 国際連盟規約(1919年)・ワシントン海軍軍縮条約(1922年)・不戦条約(1928年)調印
 ⇔ 原敬暗殺(1921年)、治安維持法(1925年)、1929年世界大恐慌、
→ ロンドン海軍軍縮条約(1930年)調印
 ⇔ 1930年11月浜口首相狙撃、1931年満州事変、1932年五・一五事件、国際連盟脱退(1933年)、京大滝川事件(1933年)、天皇機関説事件(1935年)、二・二六事件(1936年)、国家総動員法(1938年)、日独伊三国(同盟)条約調印・大政翼賛会結成(1940年)、大東亜戦争(1941年)
→ ポツダム宣言という流れで「1945年8月15日の真の意味」(19頁以降)
この「1945年8月15日の真の意味」(19-28頁)に、ポツダム宣言10項の「日本国政府は、日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障碍を除去すべし。・・・」の「復活」の意味についての解説(五百旗頭真『日米戦争と戦後日本』に拠っている)が、良かったですネ。
46頁 ナチスの記述。経済活性化で国民の支持を得ていった・・・との記述がなんとも。
91頁 「歴史から学ばない民族や国民に発展の可能性はない」という田中浩の言葉を引き、人類にとって今一番必要なことは「自制」力の保持であるとし、憲法97条を読んで講演を閉じています。
立憲主義の説明ももちろん参考になります。
この本と同時に、前田先生のエッセイと、高橋民訴を購入したので、これから読んでみたいと思います。
 

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