« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »

2015年1月

2015年1月31日 (土)

大塚仁「講演 私の刑法学~人格的刑法学の確立」青林書院

青林書院のサイトを見ていて、
新刊で出ると知って、速攻ゲットしました。

今年で92歳。

中央大学2年20歳のときに徴兵。
徴兵の話が結構、詳しく載っており、本書の半分近くを示す
かなり苦労されたのですネ。

でも、軍隊の時の話の節名が「刑法学の基礎としての海軍生活での体験」となっており、人格的刑法学を支える礎となったことがわかります。

終戦後、東大に入り、当初は小野清一郎先生の刑法の講義を受けていて興味を持って聴講していたそうなのですが、教職追放を受け、東北大で新派の木村亀二先生の集中講義で、新派の理論を非常に不満に感じ、当時2学年生に対する刑訴の講義を担当されていた団藤先生に相談に行った、なんていうエピソード(49頁以下)などは、とても興味深かったです。

軍隊での話、東大主席卒業など、本当に優秀なのですが、
やはりお人柄の良さを伺い知ることができる、講演です。

実務に大きな影響を与えた大塚説。あまり大塚先生の本を読まれて勉強している方は少ないのでしょうけれども、刑法概説各論や刑法入門の改訂作業を行なっているとのことですので、出版をお待ちしたいと思います。

2015年1月20日 (火)

トマ・ピケティ「21世紀の資本」みすず書房

話題のフランスの経済学者、トマ・ピケティの「21世紀の資本」。
12万部突破だそうです(週刊朝日1月23日版の記事)。

ちょうどの、「パリ白熱教室」も始まり、
これだけあちこちで要約本だったり要約記事が出ているので、
ある程度、内容は掴めています。
が、ホンモノを買わなきゃだめでしょう、
やはり買いたいという思いもあり、買っちゃいました!
少しずつでも読み進めていこうと思います。

2015年1月19日 (月)

池田真朗「民法(債権関係)改正作業の問題点~『民意を反映した民法典作り』との乖離」世界2015年2月号258頁以下

岩波書店の雑誌「世界」を初めて購入。

理由は、表題の通り、あれ、改正を進めていたんじゃないの?と思っていた池田真朗先生が、改正作業の問題点を指摘していたからです。

1.経緯の概要と問題の所在

2.民法の内容と今回の改正範囲

3.改正作業の出発点からの疑問

4.「学理優先」という学者の世間知らず

5.問題の根源は法律学のありかたに

6.市民法としての民法の本質

7.我が国の市民社会は成熟したか

8.民法の取引法化

9.法学部教育の問題点を俯瞰して

という内容。

最初に話の流れをまとめてくれています(258-259頁)。

① 客観的に見て、日本の民法典が現在それほど奥の問題をかかえているわけではない。

② しかし、このあたりで、120年を超える歴史を持つ民法典を見直して、その間の判例法理の準則を条文に取り込んだりして国民に分かりやすい民法典を作る、という法制審議会の諮問自体はそれなりに意味のあるものだった。

③ けれども、最初に諮問内容を無制限にして学者ばかりの意見を集めたという経緯から、長大な審議のかなりの部分が、先行した、学者委員たちの新しい学理や国際的動向を反映した提案に、実務界からの委員の疑問や反発が提示されるという、プロの間だけの議論の場になった。

④ 肝心の、現実の紛争解決に何が問題なのかとか、これからの市民生活にとってどういう民法が望ましいのか、という観点からの議論が置き去りになっていた感がある。

⑤ 要綱仮案は、突出していた新奇な論点をかなり削ぎ落としたようにも見えるが、精査すると、上記経緯が影響していて、結局学理的な発想で提案され、学理的な問題意識で分析されて出来上がった改正案で、現実の検証不足と思われるものがなお目立つ。

⑥ 2015年初旬に現在の改正要綱仮案が法案となって国会に上程されると、そのまま改正となってしまう可能性がある。

分かりやすく、そして「ここまで言っちゃって大丈夫?」というようなことも述べられています(もちろん、池田先生のお人柄でしょうが、ソフトあ表現です)。会社法改正後の民事局の人員配置を縮小しないため、とか(加藤雅信先生の改正作業の経緯に関する批判)、「学者の野望」(これは経団連の方の発言を引用)とか。

詐害行為取消権、債権譲渡禁止特約のように分かりにくくなっているもの、危険負担の改正作業の経緯、などを通じ、「民意を反映した民法典作り」になっていないのではないかと指摘しています。

今度、大阪で有斐閣主催の京大民法教授陣による解説講義が行われるそうですから、参加される方は、是非、一度、池田論稿を読んで、質問してほしいと思います。

2015年1月 3日 (土)

柴田和史「ビジュアル 図でわかる会社法」日経文庫

柴田先生の「ビジュアル 株式会社の基本」の実質的改訂版で第4版にあたるもの。

超分かりやすくまとまっています。
もちろん、19種類すべての会社組織を説明することはできないので、
大会社かつ公開会社で、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する株式会社を説明の対象にしています。
全90項目で、見開き右側を文章で説明、左側にその文章による解説を図を使って説明する形式です。

そのため、
山口真由先生の読み方の1・2回目の通りにすると、
図表は飛ばすので、読むべきところは、なんと90頁しかない!
詳しく知りたい場合には、

柴田先生の基本書(平成26年改正対応はこれからになるのでしょうが)に
戻れば良いわけです。

重要事項に絞って説明しているので、
幹を作るのには、1冊目として良い本だと思います。

会社法立法担当者の葉玉先生も
たしか入門書として優れている、こういう書物を書きたいと、
述べていたように記憶しています。

2015年1月 2日 (金)

山口真由「東大主席弁護士が実践!誰でもできる<完全独学>勉強術」SB新書


前に「7回読み」の本がありましたが、
その具体的な読み方を指南するもの。

速読に似ていますが、そうでもないんですよネ。
フォトリーディングぽいのですが、違います。

速読やフォトリーディングの本よりも実現可能性はあると思うのですが、
やはり集中力(+努力)なのでは、と思います。

1・2回目の読み方などは、速読の方法の1つなので、
試してみる価値はあると思いますが、
万人にあう方法ではないように思います。







2015年1月 1日 (木)

森博嗣「やりがいのある仕事という幻想」

一度、記事を書き終えたところで消えちゃいました・・・。

あけましておめでとうございます。

拙いブログですが、
2015年はしっかりと読書録だけは残そうと思います。

さて、今年1冊目は、
森博嗣氏の2冊目の本。

内容は・・・
人の評価は仕事で決まるわけではない。
やりがいというものも仕事だけにあるわけではない。
何にやりがいを求めるのかは人によって異なる。
なので、仕事にこだわりすぎる必要はない。


こんなふうに要約できるのではないでしょうか。

ただ、この書は別のところにも意義があるのでは・・・
36頁 仕事によって上下があったのと同様に、仕事をしている者は、仕事をしていない者よりも偉かった。たとえば、投票権があるのは一定の稼ぎがある者だけだったりしたのだ。これも立派な(悪しき)差別である。仕事をしている人たちだけで民主主義が行われ、議会で物事が決まったのだから、自分たちの立場の「偉さ」を守ろうという方向に自然になる。奴隷とか、女性には、偉くなってほしくない、という法律ができてしまう。だからこそ、単純な多数決でそのような偏った暴走が起こらないように、理想の精神というものを憲法に謳ったわけである。自分たちがときには間違ったことをしてしまう、と知っていただけでも人間は素晴らしい。
46頁 民主主義というのは会議をして多数決で物事を決める制度のことだが、そもそもその会議に誰が出られるのかという時点で既に平等ではなかった。そこで、労働者や貧しい人たちは、金持ちの多数決ではなく、もっと別のカリスマを求め、独裁者を歓迎した歴史がある。現在の民主主義でも、マスコミが煽動して、国民を煽っている。そんな頭に血が上った人たちの多数決で政治を動かすようなことがあっては困る。たしかに民主主義は理想的なシステムだが、このような危険な部分が欠点としてある。だから、理想や理念を忘れないように憲法という者が存在している、と考えて良い。

立憲民主主義の考え方です。
法律を専門としていない著者から、このような記述がなされるのは、ある意味嬉しいのですが、そのような記述をしなければならないほどの状況にあるとも言えるのではないかと、勝手に考えています。

年末のサザンの「ピースとハイライト」。うまい喩えですネ。

« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »