三段階審査
小山先生の三段階審査が有名になりましたが、
ちょっと気になっているのが、石川健治先生の三段階審査。
通常は、
①保護領域
:被制約法益が、憲法の保障する基本権によっ
て保護された領域に入るか否か
②介入-基本権制限
:国家の行為が基本権の制約を構成していると
言えるか
③正当化:かかる権利侵害(制約)は憲法上正当
化できるか。
ア)形式的要件⇒法律の留保原則
イ)実質的要件;制約目的と制約手段の正当化
⇒比例原則
(適合性原則、必要性原則、狭義の必要性原則)
なのですが、石川先生は、
①国家行為の特定-権利侵害の認定
②保護範囲
;認定された権利侵害が、憲法の権利規定の解
釈を通じて、保護範囲の内にあるものかどうか
が検討され、それが肯定されれば、当該権利侵
害は「一応違憲」の帰責が国家に対して成立す
ることになる。
ア)権利主体論
(法人の人権主体性論、第三者の権利の援用等)
イ)保護範囲の画定
ウ)保護強度の測定
③正当化自由(違憲性阻却事由)
;帰責された違憲性を果たして阻却しうるだけ
の正当化事由があるか否か。
ア)正当化論証が成立するかどうか
→ 権利が絶対的に保障されるのであれば保
護範囲論証で違憲性は確定。
* 正当化論証に入るには、人権が絶対的
に保障されるわけではないこと、すなわ
ち、制約に服し得ることが出発点。した
がって、内在的制約・社会的相互関連性
・加害原理・外在的制約等についての概
説が必要。
イ)法律の留保の要請を充足していることの論
証(制約を授権する法律の存在。法治行政へ
の議会による統制→行政作用に対する規律密
度)
ウ)比例原則
;権利侵害の実質的正当化に課される条件は、
過剰規制禁止法理としての比例原則をクリア
すること。そこでは、目的=手段の審査構造
において、立法目的の正当性と利益衡量にお
ける均衡確保を前提に、目的と手段の合理的
関連性の確保、および規制の必要最小限性の
確保が論証されなければならない。
= ☆ 立法目的が正当か。憲法的正当性を
有するか否か。
= ① 当該立法によって得られる利益と
失われる利益の均衡がとれているか
② それが正当な立法目的との間に合
理的な関連性のある手段であるかど
うか(手段は目的に適合的か=合理
性ないし合理的関連性。また、得ら
れる利益と失われる利益の均衡がと
れた相当な手段であったかどうか=
均衡性ないし相当性
⇒過剰な規制でないかどうか)
③ 目的達成のために本当に必要な手
段であるかどうか(必要性ないし必
要最小限度性)。
石川先生の論証の型については、憲法の争点148頁以下、法学教室322号54頁以下、プロセス演習憲法(第3版)273頁以下から、分かるような、分からないような。
あと、駒村圭吾「憲法的論証における厳格審査」法学教室338号40頁以下からも推察して、上記のようにまとめられるのかな~と。
法学教室322号の論文が一番良かった。「法律の留保」違反だなんて、すっげーな~と。勉強になりました。
でも、疑問も自分の中でまだあり、しっくりこないところがあって。書こうと思ったのですがおこがましいですよネ。自分の頭の無さをさらけ出すことになるので・・・。
« 個人的に注目の有斐閣の近刊。 | トップページ | 初IKEA »
「憲法」カテゴリの記事
- 渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗「憲法Ⅰ 基本権」日本評論社(2016.04.17)
- 浦部法穂「憲法学教室(第3版)」日本評論社(2016.03.24)
- 佐藤幸治「世界史の中の日本国憲法~立憲主義の史的展開を踏まえて」左右社(2016.03.18)
- 法学教室412号「特集 有斐閣法律講演会2014 憲法事例問題を対話する」が素晴らしい(2014.12.30)
- 木谷明(山田隆司・喜多山宗 聞き手・編)「『無罪』を見抜く 裁判官・木谷明の生き方」岩波書店(2014.10.22)