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2010年7月29日 (木)

つまずきのもと 刑法

法学教室 2010年 08月号 [雑誌] 法学教室 2010年 08月号 [雑誌]

販売元:有斐閣
発売日:2010/07/28
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まずは、1本目「相当因果関係と客観的帰属」。島田聡一郎先生。

つまずく原因
 ① 議論される事例が非現実的
 ② 登場する概念がたくさんある、しかも、それらの関係が分かりにくい。
 ③ 相当因果関係が必要な根拠は何か、その説明が抽象的で、実際の結論とどう関係するのか分かりにくい。

⇒ 問いに対する答え。
 ① そういう万一起こりうる事例に備えた議論なので仕方ない。

★ 概念の整理を行う
  A説;因果関係は実行行為と結果との間に必要だとする説明。
    ← 実行行為=行為時に一定の危険(あるいは許されない)を作りだす行為を犯罪成立要件とする枠組み。

  B説;単に行為と結果との間に必要だとする説明。

★ 相当因果関係の内容を巡る学説の対立

 ⇒ ある事情が偶然と評価されるかは、判断の際に、どの範囲の事情を考慮にいれるかによって変わってくる。考慮される事情の範囲を、判断基底と呼ぶ。

 ⇒ 折衷説と客観説の対立。なお、最判昭46・6・17刑集25巻4号567頁は、折衷説の論理を退けていることを確認しておくこと。

 * 行為無価値論→折衷説、結果無価値論→客観説、という対応関係がみられることが多いが、逆の結論となっても矛盾とはいえない(町野・佐伯説は折衷説)。

★ 判断基底論と行為後の介在事情

 2つのアプローチ

  1;折衷説・客観説を前提として、ある事情が介在して結果が生じた場合には、介在事情が判断基底に含まれていればそれを考慮して、そうでなければ、それを考慮からのぞいて、当初の行為から結果が生じるのが相当かを判断する。

    ただし、「結末」を単に「死」と捉えるか、具体的な「死(たとえば失血死)」と捉えるかによって結論が変わってくるが、この点について、各学説が決定的な理由を示してはいない。なお、浅田説。

  2;行為時において介在事情が予測可能だったか否かに決定的な意味を持たせず、結果に至るまでの過程全体を見て、行為に含まれていた危険が結果に現実化したといえるか、という判断をする。

★ 相当因果関係説と客観的帰属論 → 洗練された応報思想に基づくなど、連続的。

まとめると上記みたいな感じ。具体例を省いたので、上記のまとめは分かりにくいのですが、島田先生の論文は分かりやすいです。判例を学ぶことの重要性と留意点というパラグラフもあり、参考になります。「誘発」という語を判例は用いることがあるが要件ではないよ、とか。因果関係論を学ぶ上でのガイドブックとして書かれていますが、迷宮に入り込まない方が無難か・・・(注23を参照)。

 

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