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2009年11月25日 (水)

河上正二「担保物権法①」その3

  (3)担保物権に概ね共通する性質
   (a) 付従性;担保物権は、債権担保の目的を達成するための手段である。
          したがって、原則として、それによって担保される債権(被保全
          債権)の存在に依存して成立し、存続し、消滅する。
       ⇒ 担保の効力が、被担保債権の範囲に限界づけられる。
     ★ 成立における付従性
     ★ 消滅における付従性
     * 付従性の問題
      ① 諾成的消費貸借を認めるべきか
      ② 抵当権設定登記の流用
      ③ 転抵当・根抵当と付従性
     *【付従性の緩和】
   (b)随伴性;担保物権は、その目的が被担保債権の回収確保であるから、
         付従性の一環として、被担保債権の移動と運命を共にする。
         債権が譲渡されると、その従たる権利として抵当権なども一緒に
         移転するのが原則である。
   (c)不可分性;債権全部の弁済を受けるまでは目的物全体に担保物権を
          行使できること(296条、305条、350条、372条。なお392条)。
      ⇒ 結果的には、被担保債権と担保目的物の価値に著しいアンバラ
       ンスを生じる可能性があり、特に留置権ではその弊害が大きい。
        ∴ 代わり担保(301条)
   (d)物上代位性;留置権以外の担保物権の保有者は、担保目的物が、
         売却・賃貸・滅失・破損などによって別の金銭債権等に転化し
         た場合には、これらの価値変形物・価値代位物の上にも効力
         を及ぼすことで、目的物の交換価値の減少・喪失を防ぐことが
         できる(304条、350条、372条、譲渡担保の判例)。

     <? いかなる債権に対して、物上代位が認められるか ?>
          ;代位の対象となる債権や担保ごとに検討を要する問題。
       例)抵当権のある場合の目的物の売買代金
        ⇒ 多数説;抵当権者は追及効か物上代位を選択的に行使可能。

            ⇔  中田説=否定説(48頁)。追及効があるから(本文は
                 誤字です= 誤;追求効 → 正;追及効)。
                 未登記抵当権も強制競売をして換価するだけの権
                 能がないから、充分に交換価値を支配していないと
                 も考えられるので、物上代位を否定してもよい。
       *【物上代位の前提となる差押え】
        <? 304条1項但書の「差押え」の要否 ?>
        <? この差押えは、物上代位をする者自身が行わないといけな
           いのか、ほかの債権者なり担保権者が差し押さえた場合で
           もよいのか ?>
         沿革;304条1項但書
               →ボアソナード草案1638条→イタリア民法1951条
         学説① 第三債務者保護説
            ② 優先権保全説(内田Ⅲ411頁以下、414頁)
            ③ 特定性維持説(中田説?)
         判例;流動的。
   (e) 価値権性:留置権以外の担保物権は、いざという場合に備えて、
            もっぱら被担保債権に相応した交換価値の取得を目的
            としている。このように、交換価値の将来的取得を目的
            とする権利。

 3.担保法の理念と土俵
    ;担保的負担を背負った債務者あるいは担保権設定者と債権者
    (担保権者)双方の合理的期待の保護
    ;優先弁済をめぐる第三債権者との公平
    ;担保目的物を現実に利用している利用権者との利害の適切な調整

    集団(債権者・債務者・保証人・物上保証人・目的物の第三取得者・
   第三債務者・目的物利用者・後順位抵当権者など)の債権回収におけ
   る公平秩序を全体として考えていく必要がある点で極めてダイナミック。


 4.担保物権法の概要
  (1)留置権
  (2)先取特権(←フランス民法)
  (3)質権
  (4)抵当権
  * その他(仮登記担保、譲渡担保、総裁予約、代理受領、振込指定など)

表によるまとめや図も豊富です。

物上代位の差押えの論点では、伝統的な価値権説に立つのかな?これからが楽しみです。

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