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2009年6月 8日 (月)

民法判例百選Ⅰ(第6版)100事件=所有権留保売主の地位(千葉恵美子教授)

先日、民法判例百選Ⅰ(第6版)を購入しました。後ろの事件から読んでみよう!ということで、100事件目から。

名古屋大の千葉教授(アルマの物権法を共著ですが執筆していますネ)の解説です。最判昭50・2・28民集29巻2号193頁の、自動車のディーラー・サブディーラーのあの事件です。

「問題の所在」で所有権留保の債権担保機能を説明したあとに、本件事例のような、即時取得のない登録済み自動車の、ディーラーX(登録)に所有権が留保されたサブディーラーAと転買人Yとの間の転売買契約において、全額を支払ったYを保護できないのか、という問題を分かりやすく解説しています。

判例は「権利濫用」法理によって転買人Yを保護したが、その権利濫用と言えるための事情をいくつかの判例から分析しています。すなわち、①XがAによる転売を容認していたこと、②YによってAへ代金が完済されYに自動車が引き渡されていたこと、③YがXA間の所有権留保特約を知らず、知るべきであったという特段の事情もないこと、以上の事実が、判例上は、権利濫用を肯定する際に重要視されていると分析しています。しかし、③については、学説は批判的であるとしています(その理由は、百選を読んでくださいネ)。

一番の問題は、その先でしょうか。

権利濫用を根拠にXの目的物引渡請求を認めない本判例の構成からすると、自動車の所有権はXにあることになり、Yは本件自動車を利用できても、Xに対して所有者登録名義の移転を求めることはできないことになります。そこで、一般条項(権利濫用)によらずに、問題の解決をはかれないかが問題になります。

学説は、①転売授権説(安永、内田説)、②当然消滅説(米倉説・近江Ⅲ327頁)、③即時取得説(道垣内説)の3説を紹介します。ちなみに内田先生の教科書では、①転売授権説を多数説として紹介し、支持されています(内田Ⅲ553頁)。川井先生の教科書にはこの論点は載っていません(載っていませんが、良い本です!内田先生の教科書との併用が一番良いでしょう!と勝手に個人的に思っています)。

しかし、千葉先生は上記3説を批判し、333条類推説を採用しています。留保所有権の追及効が制限されるという説です。これは原文を当たってください。

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