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2009年3月16日 (月)

青柳幸一「人権と公共の福祉」(憲法の争点・28)

28「人権と公共の福祉」青柳幸一

 ;読みやすいです。学説・判例の展開までをうまくまとめています。

そして、「公共の福祉」論の課題を論ずる前提として、「公共の福祉」は、人権制約の正当化根拠とはなりうるが、正当化理由とはならない、したがって①「公共」性の積極的定義を目指した検討、②内在的制約・政策的制約の具体的内容の確定、③規制根拠・理由の意味・内容(人権相互の矛盾衝突、パターナリズムに基づく規制、「人の尊厳」に基づく規制等)を詰める必要がある、とします。

そして、人権制約の問題は、具体的・個別的な問題だから、それぞれの人権制約の正当化理由も、個別的・具体的に検討されなければならず、合憲性審査基準の「あてはめ」より、当該人権を制約するための説得力ある正当化理由の個別的・具体的な検討が重要となるとします。そのため、一定の判断枠組みから、あるいは先例を挙げて「その趣旨に徴して明らかである」として、直線的に結論を導き出すことは、結論の如何にかかわらず、判決の説得力という点で問題を残す、と指摘されます。これは、人権制約を審査する場合には、法解釈等によって示される判断枠組みだけで問題が解決することはほとんどなく、基本的に、当該事件に関する立法事実および司法事実に関する徹底的な分析が必要不可欠だから、とされています。この点から、最判平20・6・4判時2002号3頁の国籍法3条1項違憲判決は評価できる、としています。

学説が採る「三種の基準」(「厳格審査の基準」「中間審査の基準」「合理性の基準」)においても、何が「必要不可欠の目的」あるいは「重要な目的」であるのか、目的と手段の「実質的関連性」とは具体的にどのような関連性なのか等、より詳論する必要があるとしていす。
また、経済的自由の規制法令の合憲性を比例原則によって審査するとしても、手段の適合性や目的と手段の関連性等を事案の内容に即して個別的・具体的に検討することが必要であるとして、締めくくっています。

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