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2009年1月22日 (木)

渡辺達徳・野澤正充「弘文堂NOMIKA3 債権総論」

債権総論 (弘文堂NOMIKA3)

ネットでの評判がよかったので読んでみました。

仕事の行き帰りの電車の中で多数当事者の債権のところをとりあえずざっと。

誤字が多い・・・。わたくしが買ったのは、発売後1年経っていたので、誤植の訂正が入っていました。それを見て訂正を直してから読み始めたのですが・・・。

1.162頁下から3行目「づつ」→「ずつ」

 こんなの間違えるなよ!って思っちゃいます。前に記事に書いたことがありましたが、現在、正しいのは「ずつ」。175頁の9行目等には「ずつ」ってちゃんと使っているのに・・・。

2.170頁7行目「20万円」→「40万円」。

280万円-240万円=40万円でしょ。

3.175頁の図「連帯責務」→「連帯債務」

4.186頁判例の紹介(最大判昭40・6・30民集19巻4号1143頁)の13行目「売主の売主の債務不履行に基因して」→「売主の債務不履行に基因して」

5.193頁下から2行目「無視力」→「無資力」

目が見えないのかよ!って突っ込みたくなります。

どんなに良い本でも、こんなに誤植が多いと、読もうという気が失せてしまいます。もちろん、人間がやることだから、誤りがあるのは仕方がないことだけれど、混んでいる電車の中でさらっと読んでこんな簡単に見つかるのだから、校正作業をもっとちゃんとやってほしいですネ。出版社なのか弟子がやるのか分かりませんが・・・。

しかも、連帯債務の一部免除についての判例理論の説明を間違えています

NOMIKA169~170頁(説例=負担部分平等のABCによる300万円の連帯債務で、債権者がAに対して60万円の免除をした場合)
 「判例は、Aが全額の免除を受けた場合に比例した割合で、他の連帯債務者の債務を免れさせるとする(大判昭15・9・21民集19巻1701頁)。この考え方によれば、Aが300万円全額を免除された場合には100万円の限度で絶対的効力が生じる(437条)ため、60万円の一部免除のときも、同じ割合により、20万円の限度で絶対的効力を生じることになる。したがって、ABCの各負担部分は80万円となる」。

 えっ、ABCの各負担部分は80万円となる?

 一般的な説明だと、Aの債務は240万円で、BCの債務は300万ー20万で280万。Aの負担部分は100万円から20万円を引いて80万円となり、BCの負担部分は100万円のままだと思うのです・・・。

 近江188頁によれば、「判例は、全部免除を受けた場合に比例した割合で、他の連帯債務者の債務を減少させ、免除を受けた連帯債務者の負担額もそれだけ減少する、とする」。これをあてはめれば、100×60/300=20万円の限度で、他の連帯債務者BCの債務を減少させ(280万円。各自の負担額は、100万円)、免除を受けたAの負担額もそれだけ減少する(80万円)。川井190頁も同様の説明です。そのほか、北川206頁、奥田358~359頁参照。より詳しくは、潮見・プラクティス553頁。

 BCの負担部分は減らないと思うのです。判例(割合的縮減説)によれば。

 他の部分の説明でキラリと光るものがあるのに、このような間違いがあるとは・・・。それともわたくしの理解が間違っているのか?

 もったいないです。「セカンドステージ債権法(1)」の購入を検討していましたが、ちょっと購入するのは止めようかな~と思いました。

 わたくしの個人的意見では、債権総論の本でいま一番のオススメは、川井先生ですネ。潮見先生のプラクティスも第3版は参考書として使うべきでしょう。近江先生も結構、良いと思います。

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