田村理「僕らの憲法学」ちくまプリマー新書
以前から探していた本でした。以前に、著者の文章を新聞で読んだことがあり(「HERO」のキムタクのセリフから憲法の本質を考えようというもの)、ぜひ、読んだみたいと思っていました。
憲法の制限規範性を「サッカーごっこ」という例で、国家と国民との「緊迫した攻防」であるいうように説明しています。が、この例は分かりやすいのかな?憲法が公権力に対してしてはいけないことを決めたルールである(立憲主義)ということは、これでわかると思うのですが、たとえが分かりやすく伝えているとは思いませんでした。
しかし、憲法に対する誤解を解くためには、ぜひ、多くの方に読んでほしい本であることには変わりありません。「それでもぼくはやってない」「救命病棟」などを題材にして、分かりやすく身近なものとして説明でいている点は素晴らしいと思います。
最高法規とは、「行政権がその規制の範囲内で行使される法律、裁判で具体的な事件を解決する基準となる法律、こうした法律よりも高い位置にあり、憲法に反したら主権者国民の多数意思である法律でさえ無効になる法」であり(108頁)、最高法規に定められた人権を保障する手段が違憲審査制である、その権限が裁判所にある(81条)というところの説明は分かりやすいと思います(110頁以下)。
最終章が9条に関するものなのですが、朝日新聞の2007年5月3日の提言の根本的なところを批判し、「青臭い理想」を目指すという田村先生の見解に、わたくしは賛同します。
今日のデール・カーネギー「こうすれば必ず人は動く」。第3章「誰もあなたには関心がない」から「成功ノウハウその4」。「自分がいかに素晴らしいかということを語ることをやめて、相手の良い点を心から褒めたたえる」(51頁)。
おべっかとは違うところが大事ですよね。「心から」というのが、やはり難しいところ。
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