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2008年9月 6日 (土)

平井宜雄「債権各論Ⅰ上」 まず60頁まで読みました。

法律学講座双書 債権各論I上-契約総論- (法律学講座双書)

9月1日より、平井先生の債権各論Ⅰ上を読み始めました。2日以降は忙しくて全然読めていません(9月1日の電車内で60頁目まで読めただけです。がんばります)。

はしがき;なんとか下巻までは執筆してほしいと思いますが・・・。

「第1章 序説」「第1節 債権各論の意義と同総論の地位」「1 債権各論の意義」「2 債権の発生原因」では・・・

契約と不法行為が債権発生原因の中で最も重要であること、

また表意者の一方的意思表示により表意者以外の者に債権を取得させうるかという問題について、否定説を採られている。したがって、懸賞広告は契約であると解するべきであるしている。となると、平井説からは創造説の採用は難しいのかな?

「第2節 総論と各論の関係」「1 総則性の不徹底と各論の役割」では・・・

債権総則の総則的性格は必ずしも貫徹されていない(債権総論で既に述べられておりますが)、契約総則の総則性に対しても疑問を提起しています。そして、契約総則は、総則性に乏しいものとして解体されるべきであり、契約総則は独立の地位を失い、それに対応して契約各則もその地位を再編されるべきことになると述べられています。典型契約の説明にあたっては、売買と委任(行為債務の重要性から)とを二大支柱とし、引渡債務・行為債務と関連する程度に応じて典型契約の分類を試みることが理論的であり、債権総論と債権各論とを有機的に結合するための着眼点と考えなければならない、としています(8頁)。さらに、契約の総論的部分は、1回的な給付を目的とするものか、それとも継続的な給付を目的とするものか、という区別を念頭において記述されなければならない、としています。

「2 損害賠償債権の地位―請求権競合」では、かなりのページを割かれて書かれています。総則性の欠如(債権総則には損害賠償債権についての総則的規定が欠けている)という視角から、債務不履行と不法行為の関係に限定して論じられています。

学説も歴史的に論じられ、うまくまとめられています。結論として、「債務不履行責任に関する規定を優先して適用し、補充的に不法行為に関する規定を適用するという立場」に平井先生は立たれています(19頁)。「まず債務不履行責任を優先させた上で、『債務不履行によって生じた事態が契約本来の目的範囲を逸脱するものであったときは』(最判昭38・11・5民集17巻11号1510頁の判決文です)債務不履行に止まらず、不法行為に基づく損害賠償請求権も発生する(両者は競合する)と解するべきである」と法律論としては表現されるべきであるとされています。この「契約本来の目的範囲を逸脱する」ものであるか否かは、一般原則通り、個別具体的な契約の解釈によって判断されることになるとされつつも、以下の2基準を立てています。①故意または害意に基づく不履行は、それだけで直ちに(契約の解釈を待たずに)契約本来の目的範囲を逸脱する(常に不法行為と競合する)と解すべきである。②生命身体の保護あるいはそれに対する危険の防止を目的とする契約においては、生命身体の侵害によって生じる損害賠償請求権は契約の目的範囲に含まれるから、債務不履行として処理されるべき。債権侵害に関する平井説(吉田邦彦説ですネ)や、故意不法行為と過失不法行為とを単なる主観的要件の差異だけではないとする平井説に通じるものがあります。「* 実体法学と新訴訟物理論」の箇所では、「法的評価の再施」を必要とすること自体、実体法上の性質を顧慮せずには問題が解決されないことを示している、とするならば、少なくとも、請求権競合問題については、基本的には旧訴訟物理論にしたがいつつ、そこから生じる結果がいわゆる新訴訟物理論の主張するがごとき不合理なものであれば、釈明権の行使・訴訟上の信義則の活用等によって可能な限り除去するように努めれば足りるのでは、として、伊藤眞「民事訴訟法(第3版3訂版)」を参照としています。これに続けて、「訴訟物概念が決定すべきものとされていた各個の事項は、事項ごとにその制度の趣旨に応じて決定すれば足りると解されるように」民訴法学においてはなってきており、実体法上の請求権がアプリオリに訴訟物を決定する基準と考えるべきではないと考えることができるならば、実体法学は、常に訴訟物との関連を意識しつつ請求権競合問題を論じるといういわば桎梏から解放され、実体法学の平面でのみこれを扱えば足りることとなる、とされています。中野先生の「訴訟的訴訟物」概念にも触れており、学問的刺激を受けます。

「第3節 債権各論Ⅰの構成」において、債権各論Ⅰは契約を重視し、これを中心に扱うこととされ、契約総論においては、契約総則、契約上の紛争解決の意味を論じた個所で和解が扱われます(和解の個所を読むとこの意味が分かります)。事務管理、不当利得は、契約を重視する姿勢に基づいて契約に従属しまたはそれと関連する側面に重点をおいて扱われます。典型契約の規定の説明が第4章、第5章。第6章が不当利得。第4章以下が「債権各論Ⅰ下巻」となります。事務管理は、委任の個所において説明がされるそうです。

つづく。

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